あいのうた
「あー…やっちゃった」
「何してんだよ」
「だって雷苦手なんだもん…」
悪天候ではあったけれど、まさかの突然の雷に心臓がヒヤヒヤとする。
「ごめん、カップ片付けるね」
「…あ、待て」
椅子からおりて素手でカップを拾おうとする私に、大地はカウンター内からこちらへ出てきてパシッと手を掴んだ。
「素手で拾うなって。危ない」
「…、」
包んでしまうくらい大きな手。それはトラの手とはまた違う、男の人の手。
少し冷たい体温が、余計その肌を意識させる。