あいのうた
「じゃ、俺帰るんで」
「あぁ。ありがとな」
そして早々と去って行く大地に、俺はそっとナツの部屋のドアを開ける。
「……」
「…すー…」
薄暗い部屋の中、ベッドの上ですやすやと眠る顔。その姿にこみ上げるのは、安心感。
「…起きたら、ご褒美な」
そう呟いて、少し汗ばんだその額をそっと撫でた。
机の上にはコンビニの袋に入ったバニラアイス。
『熱が下がったら、ご褒美のバニラアイスね』
『ご褒美?たかが熱下がっただけだろ?』
『具合悪いのにご飯食べてまずい薬飲んで苦しんだんだから、ご褒美くらいないと!』
『…そういうもんなのかねぇ』
『そういうものなんだよ』
彼女がお前を、想った証