ひまわりに
Episode8『おしえてよ。』
保健室には、
お昼になっても先生がこなくて・・・
結局1人。
ってゆうか、お腹すいた・・・
朝ごはんたべてないし。
ーガチャ・・・り
ゆっくりと、扉が開く音がした。
「らいじゅー、昼飯持ってきたぞー。」
「かけるっ!!」
私は自らベットを飛び降りて、
靴を履くのも忘れて・・・
翔の胸に飛び込んだ。
別に、食料が調達されたから、
ではない。
「わっ・・・私って、涼のこと・・・
諦めなきゃいけないの・・・?」
「・・・・・・・はっ!?
なんでだよ!!?」
翔は急な私の行動・言動に驚いたのか
一瞬だけ間があった。
「だって、だってぇ・・ ・
いっぱい・・・いっばいぃ・・・
考えだんだよぉ~~。」
「・・・!!!???」
ー泣いてしまった。
保健室での時間は、
どうしても涼のことばかり
考えてしまった。
やっぱり、どんなに待ったって・・・
涼の記憶は戻らないかもしれない。
もう、
諦めなきゃいけないのかもしれない。
涼だって、私の想いに縛られるの、
ヤだとおもうし、
私だってそんなことしたくない。
考えれな考えるほど・・・
『諦める』って言葉が頭に浮かんだ。
もう・・・
泣きじゃくりながら話したから、
ツギハギで・・・
伝えたいことの半分も
言葉にならなかった。
けど、翔は・・・
最後までちゃんと聞いてくれた。
ー涙が止まらない。
「う”っ・・・!
う”えぇ~~ん・・・!」
「ちょっ・・・てめっ・・・!」
翔の体は大きくて、
私の小さな体を預けるのには
十分だった。
翔は困ったように、
私の頭に手を置いた・・・。
「そんなに、
難しく考えんじゃねぇよ・・・。」
「だってぇ~・・・。」
『とりあえず、飯食って落ち着け!』
そう言って、翔が出したのはパン。
それも、私が大好きなやつで・・・
『苺ジャム増量!』といかにも
食欲をそそるパッケージ。
「これ・・・涼が。」
「え?」
「雷樹の好きな食べ物
聞いてきて
『購買にある苺ジャムのパンの中で
一番高額なやつ。』っておしえたら
こんなことしかできないけど。って
俺にもってきた。」
やっぱり・・・ないちゃう。
一回泣くと、
ループにハマっちゃって
少しのことで涙腺が刺激される。
「あ”~!もう、
泣くんじゃねぇよぉ・・・。
対応に困んの俺だからっ!」
「そんなこと言ったってぇ・・・。」
と、言いつつそのパンをほおばると
・・・自然と涙は止まった。
「ふぅ・・・・、涙と唾って
一緒に出ない仕組みなのかもな。」
そうかもしれない、と私は
そのとき本気で信じた。
ジャムの甘酸っぱさが
口いっぱいに広がって、
私が幸せに浸っていると・・・
翔は話し始めた。
「そんな・・・難しく考えんなよ。」
「・・・?」
何を言いたいのかわからない。
と視線を向けると・・・
翔はもどかしそううに頭をかいた。
「~~!とにかくっ、
涼を諦めるとか・・・
てめぇらしくねぇこと
すんじゃねぇ!」
「はっ!はい!!」
つい、翔の威圧に押されて・・・
入学式みたいな返事をしてしまう。
「放課後・・・
奈々の家に集まって、
昔話するんだと。」
「ー!」
「泣き出すような真似すんなら、
無理してこなくて良い・・・。
みんな・・・困るだろうから。」
「・・・うん。」
「考えとけよ。」
「うん。」
私が・・・
いつまでもこのまま
『泣き虫』で『わがまま』な
甘々チャンだったら
皆・・・
私のこと突き放すかもしれない。
いつも皆を振り回して、
勝手に騒いで・・・こんなコトしてて
友達がいるなんておこがましい。
いままで、
考えたこともなかったけど・・・。
ー急に・・・、
私たちの関係が続くのも
そろそろ限界かな?なって
不安になった。