ひまわりに

Episode10『メモリー』


「今頃、みんな奈々の家かぁ~。」

私は結局、奈々の家に行かなかった。

ー私は、
みんなみたいに『余裕』を
もてない。

わかってはいたことだけど
・・・改めて、そう感じた。
翔なんて、
自分のことは『適当で良いんだよ』
とか言うくせに・・・
私のコトは全然、適当じゃない。
ずっと心配しててくれて、
見守ってくれてる。いつも・・・。
陽輝や奈々も、
いつもふざけてばっかりで・・・
私の言うこと全部まるめこんで
からかってくるくせに、
空気読めてるし。
いざって時にも全体を見ている。

ーでも、私にはそれができない。

なんでか、
なんて考えてもわらない
・・・まったく。
1人で突っ走って、
歯止めなんてきかないし。
自分のことで精一杯。
冷静になって振り返れば
『バカだった。』ってわかるし、
『なんであんなことしたんだろう。』
って思う。

こんなんだから、
みんなに子供扱いされるんだ。

「私だって、
好きでこんな
馬鹿じゃないっつぅーの!」

はぁ・・・。
って、ため息。何回目?
もう、疲れてんのかな?

ー『てめぇらしくねぇこと・・・
すんじゃねぇ!』

翔の言葉が脳裏をよぎる。

あの時は、
つい『はい!』なんて返事した。
けど、よくよく考えると
・・・『私らしさ』って何?
私はでどうするべきなの?
どうしていれば、
私らしくいられるの?
涼のことは諦めない、
それが私?

人に迷惑かけまくって、
ふりまわして・・・
それが翔の言う『私』なの?

ーかんがえたら、
余計わけわかんなくなってきた。

『難しく考えるな』って
難しいから
考えたくもないこと考えてんじゃん!

ー意味わかんない!

ひとりで、いろいろ考えてると・・・

♪ぴろぴろり~ん

ー電話?

画面には『五十嵐 奈々』って
表示されてる。

なんのよ?って、
ちょっと不機嫌になりながらも
電話に出る。

「はーい、
なんのごようですかぁ~?」

『どうしたん?
アンタ、声ひくなっとるで、
アメちゃんやるか?』

遠くで笑い声が聞こえる、男子?

陽輝や翔だとわかると、
無性にイライラしてきた。

「なによ?気まぐれなら切る!
・・・もぅ。」

『あーー!ちゃうねん、
明日の事なんやけど・・・。』

「なんかあったっけ?」

『タイムカプセル!』

「・・・は?」

『やっぱりなぁ~、
アンタも忘れとったか。
 ホラ、小6の夏に・・・
埋めたやろ?
タイムカプセル。』

・・・完全に忘れていた記憶が
掘り起こされた。

「あぁ~~!!
あれって、高校入ったらだった!」

『せやねん、明日・・・・』

「いく、行く!
行きます!!!!」

やばい、すごい懐かしい。

『何を興奮しとんねん、
じゃあとで連絡する。』

「うん!」

電話を切ると、
私は部屋の片隅に放置してあった
アルバムを手にとった。

そういえば・・・
久しぶりに写真をみて気がついた。
いつも、
みんなは私を
真ん中にしてくれていた。
とゆうか、
決めたわけじゃないのに・・・
並びがどれも同じだ。
左から・・・
翔、涼、私、奈々、陽輝 と。

明日も、
掘り起こした記念に
写真をとるんだろうか。

もぅ、
さっきまでの
ゴチャゴチャした気持ちがない。
私って単純だな、
ってこれまた改めて感じた。
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