ひまわりに
Episode3『バカで結構』
「いつになるかわからないけど・・・
『信じる』って約束したじゃん!」
思わず感情が高ぶり、
怒りが喉のすぐそこまで来ていた。
「せやけど・・・翔はアンタんこと、
絶対に好きやで?」
「奈々、もういいだろ?
そのへんは雷樹の自由だし、
ほっとこうぜ?」
「・・・でも・・・!」
「ほっといて、
私の気持ちは変わらないから。」
奈々が何か言う前に、いった。
~キーンコーンカーンコーン・・・♪~
「やべっ!なった!」
「せやね!ホラ、行くで!!」
「・・・う、うん。」
いつもどうりの振る舞いだけど、
呆れてるんだろうなぁ・・・。
授業中も、そのことしか頭になかった。
翔が、あたしのことを?
だからって、その想いに
答えることはできないんだけど・・・。
ーちなみに、私の班は
男子が、尚希 陽輝 翔
女子が、私 日向 奈々
という席順だ。
「あのぅ、低音寺さん。
次、たぶん当たりますよ。
解答ですが・・・こうです。」
「えっ!?あぁ・・・ありがと。」
隣の席の尚希は、こうやって
たまに教えてくれる。
しかも、自分のノートに書いて。
「じゃー、この問題をぉ・・・低音寺!
解いてみろ!」
「えっ・・・えっとぉ・・・
(尚希のノートに書いてることを
そのまま話す。
自分でも何を言ってるのか
わからないww)。」
「・・・完璧だな。」
尚希には悪いけど、褒められちゃう。
でへへへへへ。
⇒授業が終わる。
「ライぃ~、
さっき及川に
答えおしえてもらったやろぉ?」
いきなり奈々に突っ込まれる。
「なんでわかんの!?」
「はぁ?
なんでもクソも・・・
棒読みで挙動不審だったじゃねぇか」
「えぇ!?陽輝も!?」
「恐縮ですが、低音寺嬢。
ワタクシも気づいております。」
「日向姫もかぁ~。」
「せや、みんな気づいてるで?
気づいてへんのは、
あの先公と翔だけやろな。」
まじでぇ!?
「すみませんっ!雷樹さん!
次は皆に気づかれぬよう、
全力で・・・!」
「及川だめやろぉ!?
雷樹にやらせな・・・!」
「及川は優しすぎることが、
たまにキズなのですね。」
そんな話しの中、
翔が急に口をはさんだ。
「今日さ、涼のとこいかね?」
空気を読んでいないことを
自覚じているのか、目がおよいでいる。
「えぇけど・・・なんで今いうねん。」
奈々は冗談っぽく言っていたが、
笑えることじゃない。
日向姫と尚希は
涼と私たちの関係に
壁を感じているのか
涼の話しが出ると
口をつぐんでしまう。
結果、空気が重くなってしまう。
「それでは・・・及川!
ワタクシたちはお先しましょう。」
「・・・はい。それでは、」
翔は、バツが悪そうに頭をかいた。
きっと、
涼と一度も会ったことがない2人も
一緒に連れて行こうとしたんだろう。
「あ、いってもぅたー。」
「・・・じゃ、オレらも行くか。」
奈々と陽輝は、
この雰囲気に耐えられない
というように
席を立った。
⇒病院
「なぁ、
受付のおばちゃんに聞いたんやけど 105に移ったらしいで。」
「うっわ、遠いな。何階?」
「・・・9や。」
「まじかよぉ・・・。」
「ねぇ、グリコしてこ?」
「そんなん、いつになったら
9階つくねん!」
この病院・・・
やまねこ医院はエレベーターがない。
不便。
⇒105
「あぁ!ここやない?
やっとついたわぁ~。」
「ねぇ~、
妙に階段長かったよね・・・。」
「しつれいしまぁーす。」
「あ、てめ!
先頭切ってんじゃねぇよ。」
扉を開くと、
そこにはベットの上で大人しく
本を読んでる涼がいた。
「あー・・・、君ら来たんだ。」
「君らてぇ・・・、
名前おぼえとけ言うたやろ?」
「はは、ごめんごめん。」
「私はらいじゅ!」「オレは陽輝。」
「俺かぁけぇる。」「アタシはなな!」
「いーかげん覚えてよ。
一応、彼女なんだから!」
「ごめん。覚えてない。」
「知ってるって!
ばぁか、思い出してよ!」
信じる。って言っても、
アホらしくなる。
昼の奈々と陽輝の言葉を思い出して、
胸が熱くなる・・・。
-
「じゃぁね、涼。そろそろ帰るね。」
「うん。気をつけてね?」
涼は、ちょっと寂しそうなカオをした後時計を見て納得したようだった。