王龍~伝説の女総長、再び~

すると男が、「ひひっ、引くぞ!」と叫んだ


郁夜とケンカしてた奴らは”え?"といった間抜けな顔で男の後を追って、逃げるように消えた


「忙しい奴らだな。そう思わねぇ?郁夜」


あたしの問いかけに、顔をこちらに向ける


何か言いたそうなその表情に、あたしはもしかして、と思った


「李乃、聞いたことある名前なんだ。昔、兄貴がよくその名前を言ってた。……王龍、11代目総長、李乃。通り名、お「それ以上、言ったら、戻れなくなるよ?」


郁夜の言葉を遮り、あたしはそう言った


自分自身への罰だと思った


こんな所で、郁夜に会うなんて


あたしのことを、知っていたなんて


やっぱりここにいちゃいけない人間なのかもしれない


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