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パンパン



拍手をしながら真顔で近づいて来て俺の手をつかんだ。




「ふーん。そう思ってたんだ。全然家族のために動いたことないよな。」


そう言うと自分の左腕にナイフを刺した。



「あーあ、刺しちゃった。どうすんの?傷害罪に訴えられるかもな。」




もっともっと深く刺さるように手を動かした。


「どんどん入ってく。痛いな~。お前にもこの痛み感じさせてやりたいよ。」




そうつぶやくと一気に抜いた。





俺の顔を血だらけの左手でつかみながら


「家族のために動こうと思ったことがあるか?どん底の絶望を味わったことがあるか?死ぬような痛みを感じたことがあるのか?俺は…小さいころに散々味わってきたんだ…。だから幸せそうな家族を見るとめちゃくちゃにしたくなるんだ…。」



と静かに言った。




俺は震えながら

「分かりました…。すいません…。離してください。もう詮索もしませんから。」と誓った。
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