マリア ―暴走族の女神―
だけど期待は断ち切られた。
なぜなら――‥


「なんだ、女か‥」


(そんな‥)


女の人なら、どうにもならない。
最悪、私のような犠牲者となってしまうかも‥


(逃げてください‥!!)


私の思いも虚しく足音は近づいてくる。

「おい‥近づいてくるぞ」

「女だろ?構わねえよ‥道連れだ」


低く静かに話すのにその声は笑っていた。


‥そして足音は‥すぐ側まで来て‥


「やぁ?こんばんわ。お姉さん?」


‥最悪だ。
きっとこの人も私と、同じ目に合ってしまう。


「逃げて!!」


男の手が緩んだその隙に私は精一杯の声を出した。


(お願い‥!!逃げて)


だけど女の人の反応は無かった。
その代わりに――‥


「ぐあっ‥‥!!」


男の呻き声が聞こえた。
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