マリア ―暴走族の女神―
気分を紛らわせたくて、違う事を考える。


昨日の事を思い出した。


ああ、そうだ。
昨日の出来事も中々最低だった。


あの男共全員、殺してやりたいぐらいに。

でもそれは、あの人が許してくれないだろうから。


あの中学生ぐらいの女の子―…

暗くてよく見えなかったけど黒いセミロングだった、はず。

顔は――…よく見えなかった。

泣きじゃくるその姿に、何故だか抱きしめた。


"大丈夫"


そう、もう大丈夫だと。


昔、あの人がそうしてくれたように。

安心させたかった。

そうした、思いが少しでも自分にあるのだと分かって自嘲気味にふっと笑える。
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