マリア ―暴走族の女神―
拳を握りしめ、大和さんを睨んでいた。


「始めて表情をあらわにしたな」


また満足そうに笑う大和さんもただマリアを見つめている。


「どうするつもりだ?ちょろちょろと闇夜に舞ってる場合か?一人で」


そう言う大和さんの言葉にマリアは歯を食いしばっているようだった。


…その顔は少し辛そうにも見える。


「…殺す…殺してやる…」


本当に小さな声で。


「それで報われるのか…お前は?"彼女達"は?」


これだけの大人数が居るのに、まるで二人の世界。


「煩いっ…」


ギリギリと聞こえそうなぐらい、歯を噛み締めている彼女は悲痛な表情を浮かべていた。


「…何が分かる…お前に…!!」


そうして彼女は立ち去ってしまったが、何故だか大和さんは「怒らせたか」と言いながら少し嬉しそうでもあった。
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