少年探偵 キト
うだるような暑さの中、
俺は早足で歩いていた。
肩から少し大きめのバッグを持ち
首から自慢のカメラを下げて。
「あちぃ。」
汗が額から流れて
シャツをぬらす。
目的地まであと半分だ。
ふと道の端に目をやると
猫が座っていた。
俺の方をじっと見て、
もの欲しげに にゃあ と鳴いた。
キトも猫が好きだ。
いつも野良に餌をやるから
事務所の周りには猫ばっかりだ。
「俺に着いてくれば、
餌にありつけるぞ」
横目で見ながら猫にそう言った。
わかってかわからずか、
猫もまた俺に にゃあ と
返事をした。