少年探偵 キト
トムボーイビルの階段を
二段飛ばしで駆け上がる。
そこが俺たちの事務所だ。
ビルの前を通る時に
下のカフェのオーナーの
美由紀さんに挨拶した。
「おはよう、今日も暑いねぇ」
そう返す美由紀さんの腕には
猫が抱かれている。
なんたって、美由紀さんの
カフェは今流行りの猫カフェだ
こんなところに事務所を
つくったキトの猫好きには
呆れたものだ。
勢いよく扉をあける。
と同時に俺は口をひらいた。
「ごめん、遅れた」
クーラーの風が俺の身体にあたる
外との温度の違いに感動しつつ
ソファーにどっと座った。
「あ、創(ソウ)おはよう」
奥の扉をあけてキトが向かいの
ソファーに座った。
手にはコーヒーの入った
マグカップを持っている。
「今リンに餌をやってたんだ。」
そういいながら俺に
マグカップを手渡した。
…冷たくておいしい。