毒妹
そういえば、月子の部屋に夜訪れたのは初めてかもしれない

そんな事を考えながら襖に手をかけ名前を呼ぼうとしたその時だった


あっ


そんな短い声が聞こえて、僕の全身は凍りついた

〈あ〉なのか〈や〉なのか区別もつかない悲鳴のような泣き声のような声が微かに聞こえた

その声は断続的に繰り返し聞こえてくる

それは『女』の声


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