毒妹

『鴉のようね』
と月子は篠原を形容したことがあった

僕はなかなか上手い事を言うと思った

篠原の黒い髪は、顔を隠す程長く、艶やかで『鴉の濡れ羽色』というやつだろう
趣味か言い付けか、常に全身黒い服を着て影のようにひっそりと佇んでいる
しかし、その表情は読めない
僕から見た彼はまるでロボットのようだ


父は、篠原が幼い頃から何かを見出し、将来は自分の手足にと希望したらしい
彼の教育には僕以上に力を注いだ

あらゆる事を教え込んだ成果は実ったのだろう



父の右腕として仕事を手伝い、僕達兄妹の世話をし家を守ってくれている

それが本意か不本意かは解らないが


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