WANTED


どんどん近づいてくる彼に私は反射的に逃げようとするが鎖がそれを邪魔する。




「そんなに逃げないでよ。
今は何もしないから。」




"今は何もしない"
この言葉は"後で何かする"と言ってるのだ。




「何?
それとも今すぐしてほしい?」




「ひゃ!
や、めて!」




「やっぱり茱良はここが感じやすいんだね。

前と全然変わってないや。」




彼の言った"前"とはきっとあの事をさす。




「まぁ、いいや、今はやっぱりやめとく。


だけど、」




その瞬間彼はまた不気味に笑う。




「お仕置きはしないと。
俺から逃げ出したお仕置きを。」




あ、私にはやっぱり幸せってものはないんだ。




この時改めて感じた。



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