WANTED
「あ、茱良、おはよう〜」
教室に入れば1週間ぶりの花織が出迎えてくれた。
「さっきの見てたよ!
もう茱良ったらもったいない事しちゃって。
深瀬君のクイーンなんて皆の憧れなのに。」
「そんな憧れなんて私にはいらない。
それより私が休んでた分のノート見せて。
早く写さないと。」
「……(それよりって……。
全然それよりじゃないんだけど。)
てか、茱良は私のノートがなくてもテストなんか余裕でしょ?」
そう。
大人には仕事があるように、学生にはテストというものがある。
「そんな、余裕じゃないよ。」
いい点をとって大学は推薦で行きたいし、神木家にはあまり迷惑をかけたくない。