手錠の女神



 昨日から何でこんなに必死なんだ俺



 安心が欲しいから?



 違う



 側にいて欲しいから?



 違う



 単なる気紛れ?



 違う



 どれもこれも当てはまらない



 不思議な感覚



 昔見た絵本を思い出す



 時計を持った白いウサギを追いかける少女の話を



 確かにワクワクしてだけどモヤモヤした感覚は同じなんだ



 だけど



 岬とかにこんな感覚にさせられたことはない



 彼女だからこの感覚なんだ。



 「――ま」



 「―うま」



 「と――」



 「冬麻!」


 「なんだよ!」



 呼ばれたことにすら気付かなかった



 冷静さの欠片もない今の状況に自分で自分に呆れる











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