【完】結婚からはじまる恋《1》
くくくっと喉奥で噛み殺したような笑いが頭上から訊こえる。




「…」



副社長が私に近づいて来る。

彼に詰め寄られ、背中が鏡にぶつかり、逃げ場を失う。



私に見向きもしなかった彼が私をジッと見つめてる。


顔に熱が帯びて赤くなっていく。



「…深幸は何が望みなの?」



「…望み…ですか・・・?」



望みって…



「私と一晩・・・過ごして…ください・・・」
声は緊張で震えていたけど、自分の望みは言えた。


副社長が私に関心を示すなんてきっと今しかない…






< 14 / 274 >

この作品をシェア

pagetop