【完】結婚からはじまる恋《1》
「どうして話してくれなかったんですか?」



「…俺は神様を捨てた男だ。神様を支えとして生きるお前に言えなかった…」



俺の瞳に情けないけど、涙が潤み始める。




「なぁ、深幸…俺と本気で…結婚してくれないか?」



嗚咽を混じらせたプロポーズ。


「ゴメン…」



俺の涙腺は崩壊した。



あの時見た凄惨な光景が脳裏にリフレインする。



「…俺はお前に惹かれてる…」


俺の骨の髄まで入り込んできた女は彼女が初めてだ…



深幸の細く白い指が俺の涙を拭ってくれた。


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