【完】結婚からはじまる恋《1》
俺は洗面ルームで顔を洗っていた。



「おはようございます。頼さん」



美愛ちゃんが俺の元にやって来た。


俺は彼女に背を向けたまま、挨拶を返す。



「…昨日は随分な仕打ちですね…頼さん」

「…君は深幸の妹だ…だから君の脅迫に乗って…一線を越えるのは人の道に外れる…話したければ話せばいい」


強気なコトを言っているが。


具体的に今の状況から打破できるアイデアはない。



俺は出口のない迷路に迷い込んでしまっていた。
解決の糸口が全く掴めない。







でも、このまま…彼女の思うままに…なるのは避けたい。



「意気地なし!!」
美愛ちゃんは俺を罵り、洗面ルームを出ていった。



彼女も直ぐに話をする気はなさそうなので、安心した。














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