【完】結婚からはじまる恋《1》
アメリカの有名大学を卒業。


スラッとした長身。

綺麗に整えられたツヤのある黒髪。

寸分も狂いもないシンメトリーな顔。



噂をすれば、神宮寺副社長と秘書の滝口さんが前を通った。


私はマスクを外して、慌てて挨拶する。



「おはようございます。神宮寺副社長」



「・・・」


彼は黙って、私を睥睨したような視線を向けて通り過ぎていった。



「おはよう。いつもご苦労様…」


神宮寺副社長とは逆に滝口さんは愛想のいい笑顔と労いの言葉をくれて通り過ぎた。



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