【完】結婚からはじまる恋《1》
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「俺は神様なんて嫌いだ…お前にやるよ」



「えっ?」


少女は円らな瞳で俺を見上げる。



俺は少女の首許に母さんの形見となったロザリオのペンダントをぶら下げた。



「きれい…」


十字架の中央にはダイヤ、その周りにはアメジストが輝いていた。



実の母親に捨てられた薄幸の少女だとシスターから訊いていた。


「ありがとう…いっしょう…たいせつにするね」



「・・・」


あれから16年経つのに…少女は大切に持っていた。







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