【完】結婚からはじまる恋《1》
「深幸ちゃん」



「んっ?」



訊きなれた声が私の名前を呼び捨てた。



振り返ると、滝口さんが立っていた。



「…頼が君を呼んでる」


「え、あ…でも、私…これから・・・」



「田中チーフには断ってきた」



田中チーフは清掃員の中でいちばん偉い責任者。



「そうなんですか」


「だから、早くっ!!」



私は滝口さんに右手を引っ張られた。




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