ハロー、バイバイ!


無職ではいられない。

とりあえず、派遣社員になったものの、どこも短期の仕事ばかりで落ち着かなかった。


慣れたと思ったら契約終了。


機械部品の知識があって、
CADが使えるのだから、一応技術職と言って差し支えないと思うのだけれど、引く手数多というほど、世間は甘くなかった。


だから、ここの会社で部長たちに気に入られ、契約を延長して頂くのは、美紗にとって、とてもとても大事な事だ。


お茶を入れるぐらいなら、なんでもない。

ついでに制服のスカートのベルト芯も二つばかり折って、丈も短くしてみた。

背の高い美紗は、脚もそこそこ長いのだった。


就業時、男性社員はよくあるグレーの作業服、女性は野暮なチェックのベストと紺色のスカートを着用する。

美紗ももちろん、着ていた。
足はサンダル履き。
女子社員は皆、そうだ。



美紗がお茶を4つトレイに載せて、サンダルのヒールをカツカツいわせて廊下を歩いていると、角から、作業着姿の三ツ木誠が現れた。


「三ツ木主任!」

媚びた声で美紗は、呼び掛けた。

考え事をしていたのか、左手にファイルを掲げ、俯き加減だった誠は不意を突かれ、
「おっ美紗か」と顔を上げてちょっと驚く。




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