ハロー、バイバイ!
継父の連れ子だったヒカルと初めて会ったのは、ヒカルが小学校二年生の8歳の時だった。
12年前、母の再婚により、美紗には9歳歳下の弟ができた。
『黒木ヒカルです。小学二年生です。よろしくお願いします』
父に促されて、ヒカルはボーイソプラノで緊張気味に新しい母と姉に挨拶をした。
『こちらこそ、よろしくね。私、美紗っていうの。高校三年生だよ』
美紗が笑いかけると、ヒカルは、唇の端を無理やり上げて、
『へへ…』と作り笑顔を返してくれた。
(うわ~めっちゃカワイイ~…)
一人っ子で、妹か弟が欲しかった美紗にはちょっと感動的だった。
こんな形で夢が叶うとは。
8歳の弟ヒカルは、くりくり坊主頭で純真無垢かつ無邪気そのもの。
生母とは物心つかないうちに別れたせいか、すぐに美紗の母にも懐いた。
この頃は、転校先のクラスでも一、ニ位を争うチビだった。
ポケモンとドラえもんとサッカーが大好きで、大好物はハンバーグ。
歳の離れた美紗を『お姉ちゃん』と可愛らしく呼び、一緒にいる時はいちいち、『~していい?』と姉の許可を求める従順さ、素直さ。