ハロー、バイバイ!
「新しい幼稚園?
引っ越しでもしたの?」
木綿豆腐を咀嚼しながら、美紗は訊いた。
「前の奥さん、再婚したんだ。で、きらら連れて、相手の住んでる埼玉に引っ越したんだ」
「ふうん…」
こんな話には、どんな風に相槌を打ってよいのか美紗にはわからなかった。
「雑炊出来たよ、皿かして」
そう言って誠は腕を伸ばし、美紗の茶碗に雑炊をよそってくれた。
なんとなく、誠にその話題は気が進まない、という雰囲気を感じた。
美紗は、きららのことはもう訊かないことにして、
「この雑炊すっごく美味しい!」と無邪気にはしゃいだ。
誠がきららの話を再度したのは、
夜になってからだった。
和食店でたらふく食べたから、夕飯は簡単でいいと誠が言い、美紗がキッチンでうどんを茹で、冷やしで食べた。
その後、二人でローテーブルに向かい合って座り、テレビを観ながら缶ビールを飲んでいた。
お笑いタレントのギャグにウケて笑う美紗に、誠は、突然言った。
「養育費、来月からいらないって言われちゃった」
「えっ!?」
何のことが分からず、美紗は正面の誠に視線を移した。