ハロー、バイバイ!
「養育費いらないから、もう、きららと逢わないでって言われたよ」
誠は、右手に持った缶ビールを見つめていた。
「どういうことなの?」
「俺と逢っていると、きららが新しいパパに馴染めなくて困るって。
きららが混乱して、親子関係が上手くいかなくなるから、もうやめてくれって」
「そんな…」
俯いた辛そうな顔を見て、美紗は誠が可哀想になった。
けれど、前妻がいうことにも一理ある気がした。
再婚すれば、前夫よりも今の夫との家庭の方が大事なのは、当たり前のことだ。
誠もそれは同じだった。
「わかるんだよ…あいつの言うことも。
色々あって揉めて離婚したけれど、今となっては、あいつにも幸せになって欲しい。
でも、きららは俺の子供だ。
1歳のよちよち歩きの時に別れて、4歳でもう二度と逢えないなんて、辛くて。
わかった、もう逢わないよ、なんて簡単には言えないよ…」
誠の切れ長の目がうっすら涙で滲んでいた。
それを見た美紗は胸が詰まった。
「言えないよね…」
掠れた声で、おうむ返しにやっと言った。