ハロー、バイバイ!


「養育費いらないから、もう、きららと逢わないでって言われたよ」


誠は、右手に持った缶ビールを見つめていた。


「どういうことなの?」


「俺と逢っていると、きららが新しいパパに馴染めなくて困るって。
きららが混乱して、親子関係が上手くいかなくなるから、もうやめてくれって」


「そんな…」


俯いた辛そうな顔を見て、美紗は誠が可哀想になった。


けれど、前妻がいうことにも一理ある気がした。

再婚すれば、前夫よりも今の夫との家庭の方が大事なのは、当たり前のことだ。


誠もそれは同じだった。


「わかるんだよ…あいつの言うことも。
色々あって揉めて離婚したけれど、今となっては、あいつにも幸せになって欲しい。
でも、きららは俺の子供だ。
1歳のよちよち歩きの時に別れて、4歳でもう二度と逢えないなんて、辛くて。
わかった、もう逢わないよ、なんて簡単には言えないよ…」


誠の切れ長の目がうっすら涙で滲んでいた。

それを見た美紗は胸が詰まった。


「言えないよね…」


掠れた声で、おうむ返しにやっと言った。


< 24 / 87 >

この作品をシェア

pagetop