ハロー、バイバイ!


ーーだから、私も洗脳されちゃったのよね。


ーー離婚したら、そうなるんだよ。
好きで結婚したのに、最後は相手の欠点探しに、傷付け合い。
関係ない他人の方が、まだ優しいって思うよ…


誠は苦笑した後、美紗の唇を求めた。






夏が終わっても、ヒカルとはすれ違いの日々が続いていた。


大学生のヒカルは、深夜のファミレスのバイトと映像美術とやらのサークル活動に加え、自動車教習所通いも始め、多忙を極めていた。


あの女の子との交際が続いているのか、気にはなっていたが、美紗の方も忙しかった。


もう設計課の面々は、遠慮なしに美紗に仕事を頼んできた。

相変わらず、部長は出先から戻ってくると、お気に入りの美紗の肩を撫でるように叩いて「美紗ちゃん、ただいま。」と笑顔を見せた。


派遣の契約は半年ごとで、次の契約更新は早々に決まった。

この分なら当分、誠と同じ会社にいることが出来そうだ。



夏休みに、この会社と提携する伊豆高原の保養所に、誠と行った。


誠の車の助手席から、サーファーたちが集う夏の海の光景を見た。

温泉にゆっくり浸かり、二人で浴衣を着て、たくさんの海の幸山の幸の料理を堪能した。


あれ以来、誠はきららの話はしなかった。




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