ハロー、バイバイ!
明らかに無視されたのである。
(これって…もしや派遣イジメ?)
美紗は呆然とした。
こちらから話し掛けた以上、立ち去ることも出来ず、美紗が棒立ちになっていると、背後から声がした。
「シミズさん、彼女やることないなら、
会議の資料のコピー、手伝って貰っていいかな?」
美紗は振り向いた。
そこには、美紗の好みぴったりの作業着姿の背の高い男が、爽やかな笑顔を見せていた。
男は、白いワイシャツに青系のネクタイを締めた上に作業着の上っ張りを着ていた。
その瞬間、美紗の目がハート型になったのが、自分でもわかった。
「ごめんなー。感じ悪くて。
設計の奴らはほんとオタクばっかしだからさあ。特にシミズさんは女性に慣れてないから。だから、未だに独身なんだよ」
初対面なのに、男は目尻の下がった奥二重の目に親しみを込めて美紗を見た。
美紗は、男の顔から目が離せなくなる。
(あっ…!)
一瞬、男と見詰め合う形になってしまい、慌てて目を逸らした。