ハロー、バイバイ!
「看護科…」
目の前の亜美は、髪色こそ黒いままだけれど、ロングヘアをオーバーな巻き髪していて、メイク濃いめの今時の遊んでいるような娘だったから意外だった。
「看護師になるんだ。へえ、すごいね」
注射針など絶対に人の腕に刺すことが出来ない美紗は、素直に感心する。
「小さい頃から看護師になりたくて、短大入ったけど、めちゃめちゃ大変で…。
甘かったって思うけど、ママが一生懸命、お金を工面して学校に行かせてくれたから、頑張るっきゃないんだ…」
付けまつ毛の目を伏せて、けなげに亜美は言い、美紗の淹れたホットココアを一口啜る。
初めて喋るのに、美紗を前から知っているかように、亜美の言葉はかなり砕けていた。
「うち、母子家庭なんで。
亜美、早く自立しないといけないの」
亜美は思ったよりか、しっかりした娘なのだと美紗は思った。
けれど、男に尽くし過ぎて、流されてしまいがちなちょっと危ないタイプなのかもしれない。
亜美の人となりと家庭環境は分かったが、ヒカルがどう関係があるのか分からない。