ハロー、バイバイ!
明日も仕事だ。
ほぼ一日CADに向かって図面を描き、目が疲れてしまった。
風呂に入り、アイクリームをたっぷり付けて、マニキュアも塗り直したい。
「で、ヒカルに会って話したい事って何なの?ヒカルは、毎晩12時近くならないと帰ってこないから、私で良ければ、伝えておくけど」
美紗が早口で言うと、亜美は膝に置いた自分の両手の拳をぎゅっと握った。
「亜美…」
亜美は顔を上げ、縋るような目付きで
美紗を見た。
「もしかしたら、赤ちゃん出来たかもしれないの」
「……!」
亜美の仰天告白に、美紗は飲みかけていたココアを吹いた。
「もう、三か月も生理がなくって…」
ケホケホと喉を押さえてむせる美紗に、
亜美は俯きながら、話し続けた。
「妊娠検査薬使いたいけど、一人じゃ怖くて。
もし、そうだったら、亜美だけじゃ抱えきれない問題だし…
ヒカルについていてもらいたいのに、ヒカル、忙しくて逢えないって、そればっか」
ティッシュでテーブルのココアを拭き、美紗は訊く。
「…ヒカルはあなたが妊娠したかもしれないって知ってるの?
知ってて避けてるの?」
突然、亜美は頭を下げ、顔を両手で覆った。
「…ヒカルは知らない…言えなくて」
亜美はしゃくり上げ、嗚咽し始めた。