ハロー、バイバイ!
送信し、洗面所で歯磨きをしていると、着信音が鳴る。
誠からのメールだった。
[無事に家に着いた?
もし、俺に悪いところがあるなら、言って欲しい。
土曜の夜は美紗がいないと寝れないよ。明日は、美紗の都合のいい時間に迎えに行くよ。]
ベッドの中で誠からのメール読み、携帯を閉じた。
(誠はずっと起きていて、私からのメールを待っていたのかも…)
そう考えると切なくなり、美紗は無性に誠が欲しくなった。
数時間前にしたばかりなのに…
布団の中で、誠の愛撫を想い出す。
敏感な場所に触れ、美紗の右手の指が誠の指使いを真似る。
ふと、ヒカルの骨ばった手の長い指の残像が脳裏をかすめた。
ヒカルのあの手が、自分を夢想に追い立てている気がした。
甘い息遣いの中で美紗は思う。
ーー私、淫乱なのかもしれない…
二十歳(はたち)の血の繋がらない弟。
ヒカルの大きな黒い瞳、厚い唇。
姉とはなんの共通点もない形の耳。突き出した喉仏。
それはどんなことがあっても、
絶対に美紗の手に入ることはない。
こんな時に思い浮かべることすら、許されないことだ。