ハロー、バイバイ!
亜美を待つ間、美紗は行ったことのない冬の札幌の街を思い描く。
映像でしか観たことがない、雪まつりの様々な形の純白の雪像。
実物は、もっと大きくて息を飲むほど素晴らしいに違いない。
雪景色の札幌大通り公園を、雪像を見ながら、誠と腕を組んで歩く。
感心しながら。
笑い合いながら。
手袋の手と手を絡めて。
寒いから、いちゃついている、なんて誰も思わない。
ーーまだ雪まつりは先だけど、札幌のホテルが取れないとまずいから、早目に予約しよう。
そう誠は言った。
すすきのに蟹を食べに行こう、とも。
誠といると楽しかった。
失うことなど、考えられない。
ーー離婚したのは、あいつに男がいたから。
どうしても、相手の男と別れることが出来ないって泣いて言われたから…
最初の結婚生活が破綻した理由を、誠はそれだけしか話してくれなかった。
そんな男は、好きな女が出来たからといっても、なかなか再婚には踏み切れないのかもしれない。
20代のうちに結婚したいと焦れるのは、今更、馬鹿げてるーー誕生月の3月までは半年もないのだ。
それにきららのこともある。