ハロー、バイバイ!
一月の半ばにやっと開かれた会社の新年会は、最悪だった。
派遣された去年のゴールデンウィーク明けから今までずっと、美紗は職場での飲み会はすべて断り続けていた。
一言で言えば、面倒臭かったからだ。
今回はシミズが幹事だった。
「黒木さん、歓迎会も辞退したし、忘年会も来なかったじゃない。
部長にも黒木さん、連れてこいって言われてるんだよね。
たまには飲みニケーションしようよ。頼むよ」
シミズに拝まれ、彼と組んで仕事をする機会の多い美紗は、誘いを断り切れなかった。
食べ放題のしゃぶしゃぶ屋で、初めて設計課の面々と飲むことになった。
二列に並んだテーブル席にずらりと20名ほどが向かい合って座る。
あまりはつらつとした雰囲気はない。
設計課は若手社員が少なく、35歳以上の既婚者が多い。
眼鏡率がとても高いのも特徴だ。
女性は美紗一人だけだった。
「黒木さんは、初めてだから、座る席決めさせてもらったよ」
シミズの余計な図らいで、美紗だけが指定席で、上座の部長の隣だ。
完全に美紗は彼専用の酌婦だった。
出先から直に宴会場に駆け付けた部長は既に着席していた。