ハロー、バイバイ!
土曜の北風の吹く昼下がり。
誠に迎えに車で迎えにきてもらい、誠の家へ行った。
「昼ご飯、みかんしか食べないの?」
小さなテーブルに向かい合い、誠は眉をひそめ、心配そうな顔をする。
さっき、この部屋に入ってすぐ抱擁した時も、誠は美紗の痩せように驚いていた。
「悪い病気じゃないといいけどなあ…」
ーーこれは、病気なんかじゃない……
誠は、夢にも思わないんだろう。
「うん…」
この一週間、口に入れることが出来るのは、果物だけだった。
りんごやキウイは、包丁を使って皮を剥いたりするのが面倒で、バナナは甘ったるさがだめだった。
結局、ずっとみかんばかり食べていた。
今日、必ず誠に告げなければならない。
ーー俺がついているから。
ヒカルのその言葉が美紗を強くした。
誠の答えが、例え嫌な返事でも、冷静にそれを受け止めようと思った。
美紗は目を伏せたまま、勇気を奮い立たせる。
高いところから、飛び降りる気持ちで。
「…誠。私、赤ちゃん出来た」