ハロー、バイバイ!
三ツ木の、美紗を見る目が、迷子の子犬のように切なげで、美紗はたまらなくなる。
「あら、三ツ木さんだって、
幸せになれますよ!」
食事の時、グラス一杯だけ飲んだ冷えたシャルドネのせいで、ほろ酔いの美紗はスプーンを振り回すようにしていった。
「どうかな~?
そうだといいんだけど」
三ツ木は柔和に笑った。
「大丈夫ですよ!私となら、幸せになれるんじゃないですか?」
シャルドネ、恐るべし。
こんな大胆なことを、サラッと
普通に明日の天気を訊くみたいに言ってしまうなんて。
(あっ…)
言ってしまった後で、あまりの自分の図々しさに気付き、美紗は赤くなった。
三ツ木は驚いた顔で、数回目を瞬かせた後、拳を口元に当て、ククッと笑った。
「そうだね。美紗ちゃんとなら
幸せになれそうだ」
いきなり、黒木さんから美紗ちゃん、と三ツ木は呼び名を変えた。
女性に恥をかかせまいとする、
さりげない気遣いに美紗は感動した。
(この人、いい……!)
離婚歴なんて関係ない。
美紗は目の前の男をどうしても逃したくなかった。