ペテン死のオーケストラ

「王様、どうかお願い致します!母に会わせてください!」

マルメロは連日、王に悲願していました。

「ほんの数日です。母の顔を一目見れば満足なのです。すぐに戻ります。どうか、私の願いを聞いて下さい」

「マルメロよ、我が儘を言うな。サイネリアも我慢したのだぞ。お前だけを特別にはできない」

「では、王様お伺い致します。願いを聞かず、息子に会えなかったサイネリアはその後どうなりましたか?」

「それは…」

「発狂しましたわ!それに今だって別人のようです。ほんの少し、王の優しさがあればサイネリアは苦しまなくて済んだのですよ」

「私を侮辱するのか!」

「侮辱?侮辱なんかしていません。事実を述べているだけですわ。サイネリアの二の舞いをふむのですか?」

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