ペテン死のオーケストラ
すっかり日が暮れた頃、やっとマルメロの実家に着きました。

マルメロは自分で馬車の扉を開け、家まで走ります。

大きく家の扉を叩きました。
しかし、反応がありません。

「なぜ!?留守な訳ない!」

マルメロは、更に大きな音で扉を叩きます。

すると、鍵の開く音聞こえました。

マルメロは、勢いよく扉を開けます。

「お母様は!?」

マルメロは扉を開けると同時に叫びました。

立っていたのは見たことのない使用人です。

使用人はマルメロを知らないため、怪訝な顔をします。
マルメロは苛立ち怒鳴りました。

「私はマルメロよ!ハンノキの妻!なんて、失礼な使用人なのかしら!どきなさい!」

使用人は驚きます。

すると、後ろから声がしました。

「マルメロ!マルメロなのか!?」

マルメロは懐かしさと悲しさに襲われます。

声の主はハンノキ。

ハンノキの声は涙に震えていたのです。

「ハンノキ様!マルメロです!」

「マルメロ!ワシのマルメロが帰ってきたぞ!」

ハンノキはマルメロに駆け寄り抱きしめました。

ハンノキは泣いています。
マルメロには不吉な予感しかさせません。

「ハンノキ様、お母様は…?」

マルメロは勇気を出しハンノキに問いました。
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