ペテン死のオーケストラ
マルメロは母親に今までの思いを叫びます。

「今まで、ずっと我慢してきた!お母さんの言葉は全部きらい!意地悪な言葉ばかりなんだもん。どうして、そんなに毎日、毎日なじってくるのよ!?」

母親も叫びます。

「なじってなんかいないでしょ!ただ、毎日、毎日、辛くて仕方ないからよ!幸せな事なんて起こらないのに、何で生きてるのか分からないだけよ!」

「だから、そういう言葉が嫌いなの!どうして、私に言ってくるのよ?」

「マルメロしか居ないからでしょ!他に誰か居たら、あんたなんかに話さないわよ!」

マルメロは、強く胸が締め付けられ目頭が熱くなってしまいます。

そんなマルメロを見た母親は、冷たく言いました。

「泣くなんて卑怯よ。涙なんて私には効かないから」

マルメロは、恥ずかしくなります。
そんなつもりじゃないのに、母親に罵られたからです。
マルメロは、涙を堪えて言いました。

「お母さんは、私が嫌いみたいね」

マルメロは「違う」と、母親に言ってほしかったのです。
嘘でも慰めでも良いので、自分の存在を認めてほしくて言いました。

しかし、母親は鋭い言葉を口にします。

「別に。興味がないだけよ。何?私に期待してるの?悪いけど、私に母親を求めないでちょうだい」

マルメロは限界でした。

母親は言います。

「育ててやってんだから、感謝しなさい。二度とはむかうんじゃないよ」

それだけ言うと、母親は部屋から出ていきました。

マルメロも、涙がこぼれる前に自室に行かなければ、と自室へ走りました。
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