ペテン死のオーケストラ
混乱した頭のマルメロは、冷静さを取り戻しつつハンノキに問います。

「私には三日間しか時間がありません。お母様の葬儀はいつですか?」

マルメロの口から出た言葉は、あまりにも冷たいモノでした。
母親の死に対して、感情を表さないのです。

ハンノキは怒りました。

「いい加減にしろ!母上が亡くなったのだ!マルメロにとって、母上はそれほどの存在だったのか?」

「いいえ。大切な人でした。だから、走ってきたのです。王に逆らってまで…」

「なら、帰るな!王などに近づいたら不幸になると言っただろう!どうだ?今のお前は幸せか?」

「幸せか不幸かではないのです。私の夢のためです」

「お前の夢は何だ?ワシが叶えてやる」

「ハンノキ様では無理なのです。だから、王の元に行ったのです」

< 112 / 205 >

この作品をシェア

pagetop