ペテン死のオーケストラ
ジキタリスの目が少し人間らしさを取り戻します。

マートルは必死に訴えます。

「私が全部するわ!この子の事も全部!私が頑張るから!そしたら、ジキタリスも幸せよ!?」

ジキタリスは疑っています。
「マートルが全部する?金も稼ぐのか?」

マートルはジキタリスが揺らいでいる事に気づき強く訴えます。

「もちろんよ!だから、安心して?ジキタリスに負担はかけないわ!」

ジキタリスは目を細めて、マートルを見つめ言います。

「本当か?裏切ったら許さないぞ」

マートルは頷きます。

「本当よ!ただ、側にいてくれれば良い!」

ジキタリスは溜息をついて言いました。

「仕方ねぇ。産んでいいぞ」

マートルは嬉しくなります。

「ありがとう!ジキタリス!!」

恐怖を感じたマートルは、冷静な判断力を失っていました。
これが地獄への入口である事に気づけなかったのです。
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