ペテン死のオーケストラ

「なんて事なの!」

マートルは叫び喜びます。
ハンノキは大笑いしました。

「大きな声だ!がははは!母上、お許し頂けますね?」

「もちろんよ!ハンノキ、敬語なんて止めてよ!仲良くしましょう!」

「がははは!豪快な母上だ!気に入った!」

そんな会話をしていると、マルメロが現れ話しに加わります。
マートルは必死にマルメロを説得します。

こんな幸せを逃す訳にはいかないからです。

しかし、この日はマルメロは婚姻に同意しませんでした。

「マルメロ!どうして頷かないの!?こんな幸せな話しなんか、二度と舞い込んでこないわよ!?」

「お母さん、大きな声を出さないで」

「やっと幸せになれるのに!マルメロ、今度ハンノキが来たら頷くのよ!?」

「うるさいわね。ちゃんと考えがあるの。だから、放っておいて」

マートルには理解できません。
何故、マルメロがハンノキからの求婚を保留にしたのか。

「希望の子じゃないの?」

マートルは思い、悲しくなります。
もう少しで幸せを掴めるというのに、マルメロは突き放すからです。
しかし、マルメロは部屋に篭ったきりマートルとは会話をしませんでした。

< 158 / 205 >

この作品をシェア

pagetop