ペテン死のオーケストラ
「なんて事なの!」
マートルは叫び喜びます。
ハンノキは大笑いしました。
「大きな声だ!がははは!母上、お許し頂けますね?」
「もちろんよ!ハンノキ、敬語なんて止めてよ!仲良くしましょう!」
「がははは!豪快な母上だ!気に入った!」
そんな会話をしていると、マルメロが現れ話しに加わります。
マートルは必死にマルメロを説得します。
こんな幸せを逃す訳にはいかないからです。
しかし、この日はマルメロは婚姻に同意しませんでした。
「マルメロ!どうして頷かないの!?こんな幸せな話しなんか、二度と舞い込んでこないわよ!?」
「お母さん、大きな声を出さないで」
「やっと幸せになれるのに!マルメロ、今度ハンノキが来たら頷くのよ!?」
「うるさいわね。ちゃんと考えがあるの。だから、放っておいて」
マートルには理解できません。
何故、マルメロがハンノキからの求婚を保留にしたのか。
「希望の子じゃないの?」
マートルは思い、悲しくなります。
もう少しで幸せを掴めるというのに、マルメロは突き放すからです。
しかし、マルメロは部屋に篭ったきりマートルとは会話をしませんでした。