ペテン死のオーケストラ
悶々とした気持ちで毎日を過ごすマートルに今までで1番嬉しい出来事が起こります。
マルメロから初めてプレゼントを貰ったのです。
自分の頭文字をした金のペンダント。
マートルは嬉しくて堪りません。
「マルメロから贈り物をもらうだなんて!!」
金だから嬉しいのではないのです。
マルメロが自分のために贈ってくれた事が嬉しかったのです。
「マルメロは大人になったのね…。私も子離れをしてあげないと…」
この時、マートルはやっとマルメロを1人の立派な人間として認めてあげる事ができました。
可愛くて、1人じゃ何もできなかったマルメロではないのです。
もう、自分1人でも生きていける年齢なのです。
14才、マートルがマルメロを産んだ年齢です。
今のマルメロも14才。
マートルは少し寂しくもありましたが、マルメロを立派な大人として祝福しようと考え直しました。
金のペンダントは綺麗な箱に、すぐにしまいます。
「特別な記念日だけつける」
綺麗な箱を大切にしまいます。
「マルメロ、幸せになりましょう」
母親は小さく呟き、微笑みました。