ペテン死のオーケストラ

空白のページ。


『幸せになりましょう』


この言葉を最後に空白のページが続きます。

母親マートルの日記の終わりです。


プチ・ガーデンのお気に入りの石の上。

マルメロは寝転がり空を眺めていました。

何も感じず、何も考えずに、ただ空を眺めます。


さっきまで雨が降っていたとは思えないほどの晴れ渡った空。


「雨が降っていてくれてたら良かったな」


マルメロは呟きます。


「雨が降っていたら、きっと泣けていた」


マルメロは言い訳します。


「いろんな事があったな」


マルメロは目を閉じます。

母親の日記帳は、マルメロの知らない真実が詰まっていました。

マルメロにとって母親は、大好きだけど大嫌いな存在です。

日記帳の内容も、嬉しいけれど悲しいものでした。

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