ペテン死のオーケストラ
「お母さんは善人よ」
マルメロは目を閉じたまま言います。
この日記帳を読めば、大抵の人は母親を悪人というでしょう。
犯罪をおこし、逃げ、娘に厳しく、我が儘な母親。
でも、それは歪んだ愛情からくるもので悪意はなかったのです。
「そんなのただの綺麗事だ」と、言われても仕方のない事だと分かります。
でも、愛情は愛情なのです。
マルメロには優しい愛情に感じられました。
「言ってくれたら良かったのに」
マルメロは目を開けて、日記帳を見ます。
「愛する人、か…」
マルメロは起き上がりました。