ペテン死のオーケストラ

「お母さんの、最後の言葉」

マルメロは思います。

それ以外は考えられません。

この日記帳はマルメロのために書かれた物。


母親からの最後の愛情でした。


空白のページに降る雨。


マルメロの瞳から雫が次々と落ちていきます。


雫は日記帳を濡らしていきます。


我慢なんて出来ません。


堪えていた感情が止まらず、雫となって出てくるのです。


「どうして言ってくれなかったの」


マルメロの心はバラバラになり、平常心など保てません。


「私だって大好きだった」


マルメロの本音。

やっと言えました。
< 163 / 205 >

この作品をシェア

pagetop