ペテン死のオーケストラ

マルメロは、小さな穴を掘っています。

手は土で汚れ、服も泥だらけ。


ある程度の深さまで掘り終えると、そこに日記帳と金のペンダントを入れました。


「ごめん。借りっ放しだったね」


マルメロはプチ・ガーデンに、小さなお墓を作りました。


落ち着きを取り戻したマルメロは、小さなお墓に微笑みかけます。


「良い場所でしょ?お母さんと私だけの森よ」


マルメロは笑顔で話しました。

誰も入れなかった森は、マルメロと母親の森になります。


「要らない、とか言いそうだけどね」


マルメロは苦笑いをして、お墓に話しかけました。


「お母さん、分かったよ。幸せになってみせるね」

プチ・ガーデンを見渡しながら言いました。


「プチ・ガーデンとも誓ったわ。必ず、勝利をおさめ帰ってくるってね」


森がザワザワと音を鳴らし、マルメロに答えます。


「まだ、勝利とは言えないわ。今度こそ、私の夢。お母さんと私の夢を叶えるために戦うわ!」


母親とマルメロの夢。

それは幸せになる事。

幸せになる事は、つまり、1番になる事。


マルメロは、そう信じていました。

強い夢を持ったマルメロの目は、後ろめたさを全く感じない正義の眼差しです。

今までは、自分を演じ騙してやってきました。

しかし、今からは本当の自分で夢を叶えて良いのだと気づいたのです。


マルメロは清々しい気持ちでプチ・ガーデンを後にします。


マルメロの夢は叶うのか。

最後の戦いへの道を歩き始めました。
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