ペテン死のオーケストラ
サイネリアは、更に苛立ち言います。

「その笑い方、評判悪いわよ。王も苦手だって言っていたわ」

「あら、そう。人の笑い方に文句をつけるような人間って最悪よね？サイネリアも、そう思うでしょう？」

「どうかしら？笑い方によるんじゃない。王は嫌っていたけど…」

サイネリアは王の存在をアピールしてきます。
マルメロは、馬鹿らしくなり言います。

「ねぇ、サイネリア。貴女って、王の事が嫌いだったんじゃないの？話しを聞いてると、王を愛しているように感じるわ」

サイネリアは、この言葉に大笑いします。
マルメロは怯みました。
何故、サイネリアが笑っているのか分からないからです。
サイネリアは笑いながら言います。

「私が王を愛してるですって！？笑っちゃうわ！マルメロって、お馬鹿さんなのね」

マルメロは、ムッとします。

「サイネリアよりは、マシよ。馬鹿だなんて言わないでちょうだい」

「あら、本当の事を言われて気分が悪いのね。ふふ、マルメロ、貴女って何も分かっていないのね。前にも言ったけど、こっちの世界じゃ私が有利なのよ？」

「上流階級の世界、でしょ。馬鹿馬鹿しいわ。全く、興味がないわ。私は私のために生きるの」

「庶民的な考えね。でもね、マルメロは上流階級にいるのよ？これを忘れないことね」

「サイネリア、何が言いたいのよ？」

「別に何も。ただ、警告に来ただけよ」


マルメロは鳥肌が立ちます。
「警告」という言葉が恐ろしい何かを表していると感じたからです。
サイネリアは、余裕の表情で微笑んでいます。

マルメロは言葉が出ません。
そんなマルメロを見て、サイネリアは笑いながら言います。

「冗談よ。ほら、笑いなさい。じゃあ、またね」


サイネリアの表情は、いつもの穏やかさを取り戻していました。

しかし、マルメロはサイネリアの恐ろしい言葉が気になって仕方ありません。

サイネリアの笑顔が恐ろしい悪魔の微笑みに見えてくるほどに、マルメロは恐れを感じたのです。
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