ペテン死のオーケストラ
更には、王までも「マルメロが…、マルメロが…」と呻くのだそうです。

この噂は、人々を旋律させました。

しかし、マルメロは特に否定もせずに淡々と毎日を過ごしていました。

「すぐに治るわよ」

マルメロは余裕の表情です。
王の病は少ししたら治ると信じていたのです。
しかし、体調は戻らず王は苦しみの毎日を過ごすのです。

王の部屋からは、うめき声と怒鳴り声が漏れ聞こえ、人々は恐れました。

その声は王のモノとは思えないような、悲痛なモノだったからです。

「マルメロが…!マルメロを…!」

人々は、マルメロを恐怖の目で見るようになります。

さすがのマルメロも、王の容態が気になり始めました。
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