ペテン死のオーケストラ
その日以降、マルメロは部屋に篭るようになります。

外を出歩くと、人々に罵られ怖い気持ちになるからです。

今までの悪口とは違います。

自分の命に関わる悪口です。

「王よ、早く良くなって」

マルメロは毎日、毎日、願いました。

しかし、王の容態は変わらず辛い状況が続きます。

「やはり、マルメロを火あぶりにしなければ呪いはとけない」

「マルメロが全ての災いの元」

「マルメロに死罪を!」


マルメロは、そんな言葉を耳にするたびに恐れます。

「私が何をしたっていうのよ!?」

悔しい気持ちでいっぱいになりながらも耐えていました。

「いっそ、王が死ねば良いのに」

マルメロは、王の回復よりも王の存在そのものが無くなれば、この状況を打破できると考えるようになります。
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